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作成日:2019年12月23日

甘酒には「正月に飲むもの」というイメージがありますが、「甘酒」はじつは夏の季語。江戸時代には、「富士山に 肩を並べる 甘酒屋」ともてはやされ、栄養豊富なことから夏ばて防止に重宝されました。ブドウ糖やビタミンB群、アミノ酸を豊富に含み、疲労回復や美容効果が期待できることから、近年では「飲む点滴」としても知られています。
甘酒には米と糀からつくるものと、酒粕に砂糖を加えるものがありますが、今回は米と糀のみでつくる甘酒にこだわったお店をご紹介。アルコールを含まないため赤ちゃんや子どもでも飲むことができ、米糀の自然で上品な甘みを堪能することができます。甘酒を一杯飲めば、甘みが体に染みわたり、力がみなぎるのを感じるはず。東京観光のひと休みに、江戸の庶民にも親しまれた甘酒で元気をチャージしましょう。

江戸時代から続く神田明神名物「明神甘酒」 ── 天野屋

1300年の歴史を持ち、江戸三大祭の「神田祭」で知られる神田明神。その鳥居横にあるのが、江戸時代の弘化3年(1846年)に創業した天野屋です。江戸当時は多くの人が行き交う中山道で人気の甘酒茶屋で、店の脇に今はひっそりとある街道が当時を偲ばせます。
看板商品は、神田明神名物としても知られ、当時から人気だった「明神甘酒」。糀菌を植えつけた米を、店の奥にある「土室(むろ)」と呼ばれる地下6mの天然洞窟で発酵させているのが特徴で、糀も代々大切に受け継がれています。土室は年間を通して温度、湿度が一定に保たれており、甘酒づくりに最適の環境なのだとか。甘酒づくりは家族で担っており、お店を切り盛りするのは、姉妹で天野屋に嫁いだという、天野寿美子さん、史子さんを中心とした女性陣。現当主の6代目とその長男の7代目ら男性陣が、職人として昔ながらの甘酒の製法を守り続けています。

お店には、開店と同時に天野屋の甘酒ファンや観光客らが訪れます。明神甘酒は「温」と「冷」があり、どちらも季節を問わず人気。お汁粉などの甘味も充実しており、夏には甘酒を使ったかき氷も登場します。
趣ある空間に6代目のコレクションのアンティーク雑貨を飾った店内では、「市販のものだと胸やけしちゃうけど、これはおいしい。さわやかでこんな甘酒ははじめて」「自然な甘みを感じるね」なんていうお客さんたちの会話が聞こえてきます。「おいしいって言ってもらえると、ほっとしますね」と言うのは、史子さん。心を込めて手作りする甘酒への想いは、我が子への愛情のようなものなのかもしれません。「私の子どもたちの離乳食も甘酒でしたし、今も毎日甘酒を飲んでいます。職人は毎日糀に触れているから手もきれい。私たちの手は店で紙をさわるからガサガサなんだけど」と笑います。「甘酒は料理にも合わせやすくて、カレーや卵焼き、煮物に入れるのもおすすめなんですよ」
いつも身近に甘酒のある暮らしは、とても健やかで、何だか楽しそう。天野屋の甘酒は、喫茶スペースに隣接する販売コーナーで購入もできるので、お土産にして、自宅でも甘酒ライフを楽しんでみてはいかが。

豆乳と合わせていただく日本橋人形町「甘酒横丁」の絶品甘酒 ── とうふの双葉

江戸の城下町として誕生し、商業で栄えた日本橋人形町。江戸初期に最初に吉原遊郭が置かれた地であり、当時から芝居小屋や寄席、飲食店が並ぶ華やかな町でした。明治期には神楽坂、新橋と並ぶ花街として名を馳せ、現在でも通りを歩けば下町風情の中に活気と粋が息づくのを感じることができます。
人形町の駅前から明治座まで約400m続く「甘酒横丁」は、人形町の魅力を味わうのにぴったりの散歩道。老舗の名店や人気店が立ち並び、食べ歩きも楽しめるとあって、観劇客や近くの水天宮への参拝客も多く訪れます。
通りの名の由来は、明治のころ、横丁入口に人気の甘酒屋「尾張屋」があり、甘酒を飲む人たちでにぎわったことから。その後、店は閉店しましたが、「ぜひまた甘酒横丁で甘酒を」との声を受け、歴史を受け継いだのが、豆腐の名店として知られる「とうふの双葉」です。明治40年創業の老舗で、甘酒をだすようになったのは昭和末期から。現在、甘酒横丁ではとうふの双葉のほか数店舗で甘酒をいただくことができ、飲み比べを楽しむこともできます。

年中無休の双葉の朝は、商品を一品一品、家族で手作りすることからはじまります。三代目の田中金一さんが団子状にしたがんもの具材を油に入れ、妻の正子さんがきつね色になった頃合いを見計らって上げる。長年続ける仕込み作業は手慣れていても、手抜きはありません。
豆腐と並ぶ名物である甘酒は、「老若男女がおいしいと思えるものを」と考え、試行錯誤して生み出した逸品。農薬や化学肥料を使わない米を選び、よりよい条件で糀菌を発酵させられる室を、地方に出かけて探したのだそう。店頭ではつくりたての甘酒が飲めるので、まずはその場で一杯味わいましょう。米糀の粗めのつぶが入った甘酒はほどよい甘さでコクがあり、しかも後味はさっぱり。通がすすめる、双葉自慢の濃い豆乳を入れた飲み方もぜひ試してください。店頭では、ほかにも甘酒の味をそのまま感じる甘酒ソフトクリームや、玄米、古代米を使った甘酒も販売しています。

「うちの商品はスーパーに並ぶものの3、4倍の値段。それでも選んでくれるのは、日々の暮らしを大事にしている人なんだと思います」と言うのは、店頭に立つ娘の宮司まり子さん。お店には、まり子さんに一声かけていったり、手慣れた様子で豆乳のボトルを手にとり、代金をカウンターに置いていく常連も多く訪れます。忙しく立ち回るまり子さんの姿に、自分たちは「紺屋の白袴」だという言葉にも思わず納得。この店には「紺屋が自分の袴は染めない」「他人のためにばかり働き、自分たちのことに手が回らない」家族が生み出す、素材にこだわり、手間ひまかけてつくる珠玉の品が並び、その品々を自分や家族、大切な誰かを想う人が買っていくのです。人形町の魅力は、そんな心意気のある人たちから生まれているのかもしれません。

天野屋

住所 東京都千代田区外神田2-18-15
営業時間 販売店舗:10:00~17:30、祝日は10:00~17:00まで
喫茶:10:00~17:00(LO16:30)、祝日は10:00~16:00まで
定休日 日曜
※12月2週目~3月末の日曜は営業
アクセス JR線、丸ノ内線「御茶ノ水」駅、千代田線「新御茶ノ水」駅より徒歩5分
その他 営業時間・定休日・料金等の最新情報については公式ウェブサイトでご確認ください。
URL 天野屋

とうふの双葉

住所 東京都中央区日本橋人形町2-4-9
営業時間 7:00~19:00、日曜は10:00~18:00
定休日 無休
アクセス 日比谷線、浅草線「人形町」駅より徒歩3分
その他 営業時間・定休日・料金等の最新情報については公式ウェブサイトでご確認ください。
URL とうふの双葉