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第58回 3・11を忘れない―大震災に備えて

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 まもなく東日本大震災から7年を迎えます。
死者・行方不明者2万人以上を出し、今も原発事故等の影響で避難している人がいます。震度5強の巨大地震に見舞われた東京も帰宅困難者があちこちにあふれ、大混乱になりました。都内の美術館は臨時休館や開館時間を短縮、計画停電をする館もありました。
 現在は多彩で魅力的な展覧会があちこちで開かれています。これも、平穏で平和な日常だからこそ。今回は、大震災を風化させない取り組みをしている文学館・博物館を紹介します。

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迫力満点の映像に釘付けになる「自然災害とその備え」コーナー=消防博物館

同じ作品と今年も出会う

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日本近代文学館

 毎年3月11日を含む期間、全国文学館協議会に加盟する文学館では共同展示「3・11文学館からのメッセージ」を行っています。これは大震災から2年後、全国文学館協議会の当時の会長だった中村稔氏(詩人)が「文学が天災地変をどう表現してきたか。被災者の方々に思いを寄せ、自分たちの生活を振り返るような展示を全国の文学館でいっせいに開催しよう」と呼び掛け、41館が参加。翌年以降も「文学と天災地変」をテーマに、30館前後が展示を行っています。
 今年は全国の29館で行われます。都内では文京区立森鷗外記念館、吉村昭記念文学館、日本近代文学館、新宿区立林芙美子記念館、調布市武者小路実篤記念館の5館で開催されます。

 日本近代文学館は、2012年度から「震災を書く」展を行っています。詩人や俳人、歌人、小説家などが、震災や原発事故に関する自作を揮毫した作品展です。今年は新たに、福島の詩人和合亮一氏や、いとうせいこう氏が東日本大震災をきっかけに書いた小説『想像ラジオ』からの文章も展示されます。
 「『絆』や『がんばろう日本』というスローガンが一時期流行りました。既成の言葉でなく、自分が震災をどう感じるのか、作家が自分の言葉で発信しています。昨年度までの展覧会に出品した作品も改めて展示するので、『この作品をここでまた見ることができてうれしい』という声も聞かれるんです」(職員の土井雅也さん)。
 7年経つと、未曾有の大災害ですら、記憶が薄らいできます。だからこそ文学館に来て大震災を振り返る――。作家たちの言葉は、震災を見つめ直すきっかけになるに違いありません。

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計画停電の影響で、帰宅時に混雑するJR新宿駅=2011.3.14

歴史を学び、備えを確認

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江戸時代の消火のミニチュア模型

 日本は、いつ災害が起こってもおかしくありません。江戸時代からの消防の歴史を学ぶ消防博物館では、災害への備えを確認できます。
 ミニシアターでは首都直下地震に備えて自助・共助の必要性を訴えた防災教育動画が流れています。地震が起こると、次に怖いのが火事。「ブレーカーを落とすことを忘れずに」「初期消火が大切」など、基本を思い出します。
 消防博物館の10階では、高層マンションが地震にあった場合の対応を展示しています。消防車の歴代名車が並んだ地下にも、地下空間で地震や大雨、火災にあった場合の対応策が書かれています。
 「大震災に学ぶ」コーナーは関東大震災、阪神・淡路大震災、東日本大震災時の状況が「帰宅困難者」「ボランティア活動」など項目ごとにまとめられています。救援活動のエキスパートである「消防」らしく、学べるのが特徴です。
 江戸時代からの消防の歴史もユニーク。火消しのまといや江戸の町並みのミニチュア、明治時代の馬牽き蒸気ポンプ車などの前では、シャッターを切る人が絶えません。日本語だけでなく、英語、韓国語、中国語の音声ガイドがありますので、外国人の方もユニークな展示を楽しんでいます。


     ◇      ◇     ◇     ◇
 3・11は、日本人にとって価値観を揺さぶられる大きな出来事でした。決して風化させてはならないのです。文学館や博物館、あるいは美術館でもそのための取り組みをしています。

更新日:2018年2月19日

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