東京は驚くほど多様性に富んでおり、自然、伝統文化、歴史などの持続可能性に配慮したスポットが数多くあります。東京は賑やかで高度に開発された大都市である一方、自然とつながり、伝統を守る意識にあふれた都市でもあるのです。そんな東京で今注目されているのが、「サステナビリティ」をテーマにした旅。いつもと違う東京を体験できる、サステナブルな旅へ出かけてみませんか。

ポイント

森の生態系を守るため、登山・ハイキングコースから外れないように気をつけよう。
梅雨の時期には、雨具を忘れずに。
夏は熱中症に注意。脱水症状を防ぐため、水分補給をしっかりと。

自然とつながる暮らしを守り続ける

さとやま学校・東京

島しょ地域を除いた東京都唯一の村、檜原村にあるNPO法人「さとやま学校・東京」では、様々な体験を通じて、自然や自然とともに生きる人々の暮らしを学ぶことができます。檜原村には、慌ただしく時が流れる都心とは異なる生活が息づいています。険しい崖で区切られた地形で、鬱蒼とした森が残されています。東京の多くの郊外へは電車でアクセスできますが、檜原村へ行くには、曲がりくねった道を蛇行するバスに乗るしかありません。不便に思えるかもしれませんが、それがこの村を守ることにもつながっています。

私たちは今回、幸運にもガイド付きのハイキングで檜原村の自然や歴史を体験することができました。檜原村では古くから炭焼きが行われ、江戸時代には主要産業となりましたが、現在はほとんど見られません。このハイキングでは、薪炭林や炭焼き窯跡などを巡りながら、檜原村の炭焼きの歴史を辿ることができます。コース上には炭の運搬を担った馬の供養や安全祈願のために置かれた馬頭観音なども見られ、炭焼きが盛んだった頃の生活が偲ばれます。

ハイキング前に教えてもらったのは、大切なのは「3つのつながり」だということ。その3つとは、土地とのつながり、文化とのつながり、そして今日私たちの周りにいる人々とのつながりです。旅の終わりには、3つ目のつながりが最も深いものとなりました。ハイキングに参加した人たちは皆、この森に身を置き、ガイドさんの話に耳を傾けるためにはるばるやってきましたが、ある男性は朝4時に起きて、隣県から自転車でやってきたといいます。ある女性は、ガイドのひとりが子どもの頃の先生だったと話してくれました。この先生と生徒としての関係は20年経った今も続いており、彼女は彼の話に真剣に耳を傾けていました。

ガイドさんたちは、この場所から60キロも離れていない都会の喧騒とはかけ離れた世界の話をしてくれました。80歳過ぎのあるガイドさんは村で育ち、炭焼きで生計を立て、土地で採れたものを食べて暮らしています。緑色の苔に覆われ、きれいに積み上げられた石の山（「キルン釜」と言うそうです）に近づくと、彼は若い頃に炭を作るため、森の中にこの窯を作ったと教えてくれました。その他にも、村で過ごした青春時代のさまざまなエピソードを語ってくれました。土地は豊かで、巨大な樹木もその恵みのひとつです。その根を伝って水が流れ落ち、下に貯水池を形成し、おいしい水を生み出しています。

さとやま学校・東京では、ハイキング以外にも、廃校を改装した「藤倉校舎」やその周辺でさまざまな活動を行っています。たとえば、味噌や様々な雑穀を使った餅など、村の生活に密着した料理体験や、藤倉校舎に宿泊する農泊体験もできます。農泊体験では、保護者たちが子どもたちを連れて、校舎の周りを走り回ったり、栄養たっぷりの食事を作ったり、森の中を駆け回ったりします。最大16人までのグループで、校舎を一晩貸し切ることができます。

藤倉校舎は山と、鬱蒼と茂る木々に囲まれており、美しい自然の中でアクティビティが楽しめます。大きな窓からは自然光が入り、校舎内を照らします。玄関近くのデッキからは素晴らしい夕焼けを眺めることもできます。

さとやま学校・東京「藤倉校舎」
東京都西多摩郡檜原村藤原4814
Webサイト

東京で唯一無二の自然を体験

東京裏山リバーフロント（東京裏山ベース）

「東京裏山リバーフロント(東京裏山ベース)」は、新宿から1時間で行ける自然の遊び場です。ここでは、武蔵五日市から秋川渓谷にかけての大自然をさまざまな方法で楽しむことができます。スタート地点はJR武蔵五日市駅から徒歩1分。予約なしでも、用具のレンタルやツアーへの参加が可能です。

田園サイクリングから川辺のリラクゼーションまで、さまざまなアクティビティが用意されています。現地でキャンプ用のチェアを借りて、何もしない贅沢を味わうのもいいでしょう。また、東京の豊かな自然を紹介するガイドツアーに参加するのもおすすめです。リバーサイドトレッキングツアーでは、森の中にある秘密の滝を訪れ、レンタルの防水ウェーダーを履いて、足元を濡らさずに水の中を歩くこともできます。