ホーム > 東京の楽しみ方 > 美術館・博物館 > アートでわかる more Tokyo > 第50回 夏休みは家族で美術館へ

第50回 夏休みは家族で美術館へ

ここから本文です。

 夏休みに入ると、家族で出掛ける機会も増えることでしょう。今回は、家族一緒に楽しめる展覧会を紹介します。

170601

『ちびくろ・さんぼのとらたいじ』演出中の持永=東京国立近代美術館フィルムセンター

日本アニメ誕生百年、開拓者の足跡

170602

こぶが取れたじいさんが鬼と踊る=東京国立近代美術館フィルムセンター

 大好きな人形が動いたらいいな――。子どもの頃、こんな夢を見たことはありませんか。この夢を実現した日本人がいるのです。持永只仁(ただひと)、人形アニメーション作家の先駆者です。人形アニメーションとは、真ちゅうやボールベアリングを入れて関節を動くようにした20㎝前後の人形を、人間が手で動かし、1コマ1コマを撮影してつなぎ合わせたアニメです。
 日本に国産アニメーション映画が誕生して今年で百年。切り絵、セル、影絵といった様々な技法を開拓した作家が現れる中、持永は人形アニメーションという新分野を切り拓きました。東京国立近代美術館フィルムセンターでは9月10日まで、持永只仁展を開催しています。
 1919年に東京に生まれ、セル・アニメーションの修業を積み、45年に中国へ渡って中国アニメの製作を指導。53年に帰国後は『ちびくろ・さんぼのとらたいじ』など名作を世に出していきます。会場には、持永が中国でアニメ創生期に関わった頃や台の上に這いつくばって人形を動かす写真、また1秒間に24コマを撮るアニメの1シーンごとの香盤表(※)と絵コンテのガリ版刷りを展示。人形が生きているように見せる技術の蓄積と労苦に圧倒されます。
 展示された人形たち――こぶとりじいさんや瓜子姫、表情豊かな動物たちが、いとおしくてたまらなく感じることでしょう。日本と中国、米国の子どもたちまでも夢中にさせた夢と情熱に包まれた空間なのです。
 ちなみにフィルムセンターの常設展は、「NFCコレクションでみる日本映画の歴史」。日本に映画が入ってきた明治時代の街や関東大震災の記録など貴重な映像を公開。映写機やポスターも時代の雰囲気を高めます。

日本美術の扉を開けて

 さて、日本美術を体感できるのが、サントリー美術館「おもしろびじゅつワンダーランド2017」(8月1日~31日)。2012年に好評を博した参加体験型展覧会が5年ぶりに行われます。
 《桐鳳凰図屏風》は17世紀の狩野探幽の傑作で、六曲一双の屛風です。体を動かすと、屛風に描かれた鳳凰の秘密が分かる映像が流れるなど、様々な仕掛けで屛風や鳳凰の秘密を探りながら、本物の作品へと進んでいきます。他のコーナーでは江戸時代の焼き物に施された文様の「吹墨文」を紹介。マイクに向かってイメージする言葉を叫ぶと、人の背丈ほどの徳利にいろいろな色や形の吹墨文が浮かび上がり、声で絵付けを体験できます。
 いずれも本物の作品とともに展示されるので、単なるエンタメではなく、作品鑑賞の目も養われることでしょう。難しい印象がある日本美術の入り口にぴったりの展覧会で、しかも中学生以下は無料です。

170603

《桐鳳凰図屛風》狩野探幽筆 六曲一双のうち右隻 江戸時代 17世紀=サントリー美術館※無断転載禁止

古切手が素敵な作品に

170604

古切手を切って貼る。何ができるかな=切手の博物館

 最後は切手の博物館。テーマに合わせた世界の切手展示や、6万種の切手のショップも併設されたミュージアムです。夏休み(7月22日~8月23日)の間、古切手を使った貼り絵が無料で楽しめます(入館料は別途要)。方法は、イラストを決めて古切手を選び、糊付けした切手を切って貼るだけ。切手独特の色合いを生かした図柄を考える作業は、未就学児から大人まで夢中になること請け合いです。郵便の役目を終えた切手が、個性豊かな作品に生まれ変わるのも素敵です。

 


 いかがでしょうか。いずれも子どもから大人まで十分楽しめるものばかりです。涼しい空間で、家族で思い出を作る美術館が東京にはまだまだあります。

※香盤表……ドラマなどの撮影を行うための事前スケジュール表。シーンごとの登場人物や小道具などが細かく書かれている。

170605

貼り絵用の古切手。全国から寄贈された古切手をスタッフ、ボランティアが分類したもの=切手の博物館

更新日:2017年6月13日

観光スポット検索