ホーム > 東京の楽しみ方 > 美術館・博物館 > アートでわかる more Tokyo > 第44回 世界的に有名な浮世絵師・葛飾北斎の美術館が墨田にオープン

第44回 世界的に有名な浮世絵師・葛飾北斎の美術館が墨田にオープン

ここから本文です。

東京・墨田に新たな観光スポットが誕生

日本が誇る芸術家・葛飾北斎(1760—1849)は、両国駅近くの墨田区亀沢、かつて本所割下水と呼ばれた地域に生まれました。その後、生涯のほとんどをこの地で過ごした北斎の浮世絵版画は、日本にとどまらず世界中の人々を魅了しましたが、そのなかでも特に《神奈川沖浪裏》をはじめ、《富嶽三十六景》の作品群は、日本美術の代表ともいえるでしょう。

「冨嶽三十六景神奈川沖浪裏」すみだ北斎美術館蔵

すみだ北斎美術館

構造

美術館の構想は1989年からすすめられ、ついに2016年11月「すみだ北斎美術館」は、北斎の生地であることから「北斎通り」と呼ばれ親しまれる通りのすぐ側に開館しました。建築家・妹島和世設計による美術館は、隣の公園を見渡せるようにして建てられ、大聖堂のようなアーチを備えたメタリックで美しい外観は、現代的でありながら、遠近法を駆使した北斎の大胆な構図に匹敵する迫力があります。

ロゴ

北斎独自の画風は、美術館のロゴにも反映されています。1,634点の公募作品から選ばれたのは、高瀬清二と勝井三雄の両氏によるデザイン。《冨嶽三十六景山下白雨》作品中で、富士山を背景に走る稲妻の矢をデザイン化したものです。

常設展

美術館最上階の展望ラウンジからは、東京スカイツリーの素晴らしい景色を楽しむことができます。この階では常設展示が行われ、1,800点以上ものコレクションの一部が展示されています。コレクションの多くは、北斎の一大コレクターで研究者でもあった、ピーター・モース(1935-1993)氏の個人コレクションを受け継いだものです。

展示室の入り口には、1923年の関東大震災で焼失した幻の傑作《須佐之男命厄神退治之図》(1845)が復元展示されています。日本神話の1シーンが描かれたこの作品は、北斎最晩年の傑作といわれています。
あまり知られていませんが、北斎は芸術家でありながら、イラストレーター、デザイナーなど多くの顔を持っていました。1階展示室では、このような彼の作品の多様さを知り、年代別の作品スタイルの変遷をたどることができます。

「画像」

「北斎漫画」すみだ北斎美術館蔵

4階の常設展示室にはタッチパネルモニターが設置され、北斎作品のなかから富士山を見つける遊びや、漫画の草分け的存在『北斎漫画』のページめくりを楽しめる「北斎絵手本大図鑑」など、ゲーム感覚で北斎の作品を楽しむことができます。北斎は、『北斎漫画』を1814年から描き始め、一生涯を通して絵を加え続けていたことで知られています。また、見どころの一つは、墨田にあった北斎のアトリエを再現した実寸サイズの模型です。年老いた北斎が腰を曲げて制作するかたわらで、北斎の娘で自身も絵師である、葛飾応為がそれを手伝っている様子が再現されています。展示は日本語と英語のバイリンガルで、いくつかの展示物には韓国語と中国語(繁体字、簡体字)もあります。なお、常設展示室を含め、館内の一部は写真撮影ができます。

「北斎の帰還-幻の絵巻と名品コレクション-」展

「隅田川両岸景色図巻」          すみだ北斎美術館蔵

美術館の3階と4階は特別展示スペースで、現在は「北斎の帰還-幻の絵巻と名品コレクション-」展(2017年1月15日まで)が開催されています。全展示物がオリジナルで、目玉作品はなんといっても、隅田川の風景を描写した7メートルに及ぶ大作絵巻《隅田川両岸景色図巻》。海外に流出しており、100年余り行方知れずとなっていたこの絵巻では、隅田川の全容と橋が描写され、江戸時代に活気のあったこの地域の全体図を見渡すことができます。北斎は、水の描写と、遠近法を駆使した構図に優れていましたが、この技法を使った作品も鑑賞できます。

コレクションや展示プログラムからもわかるように、「すみだ北斎美術館」は、隅田という東京のなかでも伝統的なエリアにあり、この地域の古い歴史は、近隣の文化施設、両国国技館や江戸東京博物館からも知ることができます。いずれの施設も両国駅から徒歩圏内で、「すみだ北斎美術館」と併せて楽しむことができます。東京を訪れる時にぜひ立ち寄りたい観光スポットが、またひとつ増えたといえるでしょう。

更新日:2017年1月13日

観光スポット検索