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第30回 ちひろ美術館・東京(原島恵主任学芸員)

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いわさきちひろ 小鳥と少女『ことりのくるひ』(至光社)より 1971年

ちひろ美術館・東京

画家の家に遊びに行く感覚で楽しめる美術館

ちひろのアトリエ 撮影:嶋本麻利沙

いわさきちひろは、生涯“子ども”をテーマに描き続けた絵本画家です。絵本に限らず、広告やカレンダー、教科書などのいわゆる印刷美術の世界で幅広く活躍し、子を持つ母たちを中心に大きな共感を集めました。『ことりのくるひ』や『窓ぎわのトットちゃん』などは世界各国で出版されているので、ちひろの名は知らなくても、絵を目にしたことのある方は多いかと思います。ちひろの描いた子どもは、不思議なことに、どの国の方が見ても「自分の国の子どもだ」と感じるようです。いのちの美しさや輝きといった、誰もが大切に思う子どもの姿を、ちひろ自身の瑞々しい感性で捉えているからかもしれません。

そのちひろが55歳の若さで亡くなってから3年後の1977年、ちひろが22年間暮らした東京・下石神井の自宅跡地に当館がオープンし、2002年に現在の形に建て替えられました。展示の中心は絵本の原画ですが、館内には生前のアトリエを再現した「ちひろのアトリエ」や、ちひろが愛した四季折々の草花が並ぶ「ちひろの庭」があるほか、懐かしさや温かみが感じられるよう隅々にまで工夫が凝らされ、ちひろの家に遊びに来たような感覚になれる場所となっています。館内には、約3,000冊の絵本を配架した図書室や、赤ちゃんや小さい子供が遊ぶことができるこどものへや、ショップやカフェがあります。ちひろを身近に感じながら、くつろいでいただくことができます。

世界で最初の絵本美術館として

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エリック・カール(アメリカ) おんどり 1985年

絵本美術館は今でこそ世界中にありますが、開館当初はまだ絵本原画が美術として認められていなかったところがあり、専門の美術館は当館が初めてでした。創設メンバーの一人である、ちひろの息子の松本猛は、絵本は豊かな芸術表現のひとつであり人類の文化財であるという信念のもと、記念館ではなく絵本美術館として当館をスタートさせています。そしてその信念に基づき、1980年代半ばからはちひろ以外の画家の原画も収集するようになり、その第一号となったのがエリック・カールの《おんどり》です。今では、世界的にも広く親しまれている名作絵本を含む、国内外の原画約26,750点を収蔵しています。

今回ご紹介した2点をはじめ、当館選りすぐりのコレクション約120点が並ぶ展覧会「まるごとちひろ美術館」が、2015年10月28日から始まります(2016年1月31日まで)。美術館というと敷居の高いイメージもあるかと思いますが、赤ちゃんからシニア世代まで楽しめるのも当館の特徴のひとつ。図書室に備えてある来館者ノートを見ると、子どもの頃に初めていらした方が、その後ご自身の家族を連れて訪れてくださっているケースもあり、皆さまの物語と一緒に育っている館であることを実感します。当館が皆さまにとって、人生の折々で訪れたくなる“心のふるさと”となることを願っています。

Information

ちひろ美術館・東京
所在地 〒177-0042 東京都練馬区下石神井4-7-2
TEL 03-3995-3001
開館時間 10:00~17:00 ※入館は30分前まで
休館日 月曜日(祝日・休日の場合は翌日)、年末年始、2月

おすすめミュージアムグッズ

■書籍「まるごとちひろ美術館」
次回展と同名の書籍が、昨年、東京美術から発売されています。約40年に及ぶ館の歴史が詰まった充実の1冊。ちひろ美術館編集、高橋明也監修。
▼¥1,800(税抜)

■2016年カレンダー(大判)
開館時から毎年作られているカレンダー。原画の色味を忠実に再現したこだわりの商品で、切り取って額に入れても素敵です。アンケートに答えると2名まで入館できるチケット付。
▼¥1,512(税込)

更新日:2015年10月26日

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