ホーム > 東京の楽しみ方 > 美術館・博物館 > アートでわかる more Tokyo > 第27回 国立新美術館(谷口英理研究員)

第27回 国立新美術館(谷口英理研究員)

ここから本文です。

画像

アートライブラリー(美術館3階)

国立新美術館「アートライブラリー」

作品ではなく資料が“コレクション”

画像

上/アートライブラリー(美術館3階) 下/アートライブラリー別館閲覧室

国立新美術館は2007年、所蔵品を持たない新しいタイプの美術館として六本木に開館しました。「展覧会」のほかに「情報収集・提供」と「教育普及」も事業内容として掲げているため、美術資料の収集・保存・整理・公開は、開館当初から当館の柱のひとつでした。その資料を閲覧していただけるのが、美術館3階にあるアートライブラリーと、別館1階にあるアートライブラリー別館閲覧室です。現在では、国内外の展覧会カタログ、美術関連の書籍や雑誌など、合わせて約13万冊を所蔵しています。作品を収集しない当館にとって、美術資料が唯一の“コレクション”と言ってもいいかもしれません。
 
特に収集に力を入れているのは展覧会カタログで、赤坂にあったアートカタログ・ライブラリー(2004年に閉館)から移管された約2万冊を含む、合計約9万5千冊を所蔵しています。展覧会カタログは、書店などの通常の書籍流通ルートに乗らないことが多いため収集が難しいメディアですが、当館では特に日本国内の美術館・博物館のご協力の下、寄贈・交換によって網羅的に収集しています。また、JACプロジェクトという、日本で開催された展覧会のカタログを海外の拠点に送付するプロジェクトも毎年行っています。

専門図書室というと、入口で申請をしたり荷物を預けたり、といった手続きが必要なことが多いものですが、アートライブラリー(美術館3階)のほうではそれをしていません。貸出はできませんが、様々なカタログや、当館で開催中の企画展にまつわる資料などを、限りなく地元の公共図書館に近い環境でご覧いただけますので、ぜひ気軽にお立ち寄りください。一方の別館閲覧室は、さらに深掘りしたい方向け。戦前の書籍から廃刊になった雑誌、各種復刻版、写真資料、手稿類まで、閲覧に予約が必要な資料も含め、より専門的なものが揃っています。また、1928年に旧陸軍の兵舎として建設された建物を活用した別館の建物は、モダンな美術館本館の建築とは趣の大きく異なる外観と内装になっていますので、その独特の雰囲気もお楽しみいただけることと思います。

「アーティスト・ファイル」出展作家を追い続けて

画像

上/「アーティスト・ファイル」コーナー(アートライブラリー別館閲覧室) 下/「アーティスト・ファイル2015 隣の部屋──日本と韓国の作家たち」展チラシ

当館で継続的に開催している企画展に、何人かの現代美術家を個展の集合体の形で紹介する「アーティスト・ファイル」があり、間もなくその6回目となる「アーティスト・ファイル 2015 隣の部屋──日本と韓国の作家たち」が始まります(7月29日~10月12日)。会期中、アートライブラリーでは関連資料を特集するほか、会期終了後もそれぞれの作家の関連資料を引き続き収集します。そのようにして収集された過去の出品作家の関連資料は、「アーティスト・ファイル展」資料として別館閲覧室で公開しています。過去に取り上げた作家には石田尚志や石川直樹など、その後さらに活躍の場を広げている人も多く、それらの作家の方々からの寄贈資料によるアーカイブは、今後ますます重要な資料となっていくはずです。

近年、「具体」や「もの派」をはじめとした戦後の日本美術が海外でも注目されるようになり、日本美術関連の資料を求めて、海外から当館のライブラリーを訪れる美術関係者もいます。美術館というと、どうしても展覧会事業ばかりに注目が集まりがちですが、美術関連資料を収集、整理、公開したり、貴重な資料の散逸や海外流出を防いだりすることもまた、文化を維持していくために国立の美術館が担う重要な役割ではないでしょうか。今後も幅広い美術資料の収集と公開に努めていきたいと思っています。

Information

国立新美術館
所在地 〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル)
開館時間 10:00~18:00(企画展会期中の金曜は20:00まで)
※入館は30分前まで
休館日 火曜日(祝日・休日の場合は翌平日)、年末年始

アートライブラリー(美術館3階)
開室時間    11:00~18:00
(閉架資料の閲覧請求は17:00まで 複写申請は17:15まで)
休室日     美術館の休館日、特別整理期間

アートライブラリー別館閲覧室(別館1階)
開室時間    11:00~18:00
(閉架資料の閲覧請求は17:00まで 複写申請は17:15まで)
休室日     土曜・日曜・祝日、美術館の休館日、特別整理期間
※一部、予約閲覧、特別資料閲覧の手続きが必要な資料有り

おすすめミュージアムグッズ

■SFTオリジナルトートバッグ
ミュージアムショップ「スーベニアフロムトーキョー(SFT)」のオリジナル商品。六本木を中心に、東京の名所が描かれています。デザインはボブファンデーションによるもの。
▼¥2,000(税抜)

■冨貴寄江戸みやげ
明治23年創業の和菓子店、銀座菊廼舎とコラボレーションしたSFTオリジナルの冨貴寄。佐藤可士和デザインによる美術館ロゴが入っているので、お土産にもおすすめです。
▼¥1,300(税抜)

更新日:2015年7月25日

観光スポット検索