ホーム > 東京の楽しみ方 > 美術館・博物館 > アートでわかる more Tokyo > 第26回 たばこと塩の博物館(湯浅淑子主任学芸員)

第26回 たばこと塩の博物館(湯浅淑子主任学芸員)

ここから本文です。

画像

「江戸のたばこ屋」ジオラマ

たばこと塩の博物館「江戸のたばこ屋」

江戸の町に広がったたばこ文化

画像

歌川国芳「筆始曽我福贔屓」

当館は名前の通り、かつて専売品だった「たばこ」と「塩」の歴史と文化を紹介する博物館です。たばこがいつどのように日本に伝来したか、はっきりしたことは分かっていないのですが、確認できる最も古い記録は1601年のもの。江戸幕府の初代将軍になる徳川家康が、スペインの宣教師から、たばこの種とたばこの葉から作った膏薬を渡されたという記録が残されています。その後の数年で、たばこは嗜好品として庶民の生活にすっかり定着していき、真偽のほどは定かではありませんが、1800年代のある試算によれば、吸わない人は100人中2人~3人しかいなかったとされています。当時のたばこは、きせるやたばこ入れなどの喫煙具に凝ったり、その手入れも含めた“吸う時間”を楽しむという、ひとつの文化だったのではないでしょうか。

喫煙率の高さは全国的なものでしたが、特にたばこ文化が栄えたのはやはり、各地から様々な銘柄が入ってくる江戸の町でした。たばこは、栽培する場所によって、気候などの影響で品質が異なります。当時の最高級品とされていたのが、今の鹿児島にあたる「国分(府)」産のたばこ。江戸のたばこ屋には、当館の常設展示室のジオラマにもあるように、この「国分(府)」を扱っていることを看板に掲げる店が多くありました。このジオラマの看板は、当館で所蔵している歌川国芳画の芝居絵(「筆始曽我福贔屓」)に描かれたたばこ屋の看板をモデルに作られています。当館の浮世絵の収集方針として、たばこが描かれているものというのがあるのですが、ほとんどの作品に描き込まれていることからも、たばこがいかに庶民生活に溶け込んでいたかが分かります。

東京スカイツリー近くにリニューアルオープン

画像

「いろいろ塩図鑑」

明治に入り、たばこは日露戦争の戦費調達を主な目的として専売品になりました。一方の塩が専売品になったのは、人間が生きていくために欠かせない物質である塩を、岩塩や塩湖のない日本で安定供給するため。共にかつて専売品だったとはいえ、その背景はそれぞれです。当館の常設展示室も、「たばこ」と「塩」とでは趣が異なり、「塩」の展示は、世界のいろいろな塩資源や、日本の特殊な塩作りの紹介になっています。

この4月、当館は1978年から35年間にわたって開館してきた渋谷を離れ、東京スカイツリーに程近いここ墨田に移転・リニューアルオープンを果たしました。「塩」の常設展示室は、映像システムによって様々な塩の原料や産地、製品情報などを紹介する「いろいろ塩図鑑」が加わったことで、さらに充実しました。また、全体の展示スペースがおよそ2倍となり、「たばこ」「塩」両方の常設展示室に多くのデジタルコンテンツが取り入れられたほか、バリアフリーや日英キャプションなども整備されましたので、ぜひ一度お立ち寄りいただければと思います。

Information

たばこと塩の博物館
所在地 〒130-0003 東京都墨田区横川1-16-3
TEL 03-3622-8801
開館時間 10:00~18:00 ※入館は17:30まで
休館日 月曜(祝日・休日の場合は翌日)、年末年始

おすすめミュージアムグッズ

■博物館オリジナルトートバッグ
館を象徴する、きせると塩の結晶と文字が、表地には大きく、裏地には細かくプリントされています。持ちやすく丈夫なので、図録を入れて持ち歩くのにもピッタリ。
▼¥1200(税抜)
■たばしおマッチ
マッチ棒の先にこけしの顔を描いた「こけしマッチ」を制作する会社とのコラボ商品。たばこ店の看板娘「たばこ」と塩メーカーの営業マン「としお」がモチーフになっています。
▼各¥190(税抜)

更新日:2015年6月26日

観光スポット検索