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第25回 国立西洋美術館(袴田紘代研究員)

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クロード・モネ《睡蓮》1916年 油彩、カンヴァス 国立西洋美術館 松方コレクション

国立西洋美術館「松方コレクション」

フランス美術の名品が東京に

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ピエール=オーギュスト・ルノワール《アルジェリア風のパリの女たち(ハーレム)》 1872年 油彩、カンヴァス 国立西洋美術館 松方コレクション

国立西洋美術館は、実業家の松方幸次郎が1916年頃から約10年にわたってヨーロッパで収集した「松方コレクション」を核に、1959年に誕生した美術館です。造船業を営んでいた松方は、商談のために渡欧する度、印象派と当時の現代美術を中心に多数の美術品を買い集めました。自らの趣味のためというより、日本の若い画家たちに本物の西洋美術を見せたい、という思いで収集に取り組んでいたようです。《睡蓮》で知られるモネとは、松方の姪夫婦を通じて直接の交流があり、多くの作品を画商を介さずモネ自身から購入しています。膨大なコレクションのうち、ロンドンで保管されていた分は火事で焼失してしまいましたが、パリに残されていた分だけでもその数は約400点に上ります。

パリにあったコレクションがここ東京で公開されるまでには、様々な経緯がありました。松方は自ら作品を持ち帰り、美術館を建てて公開する構想を持っていましたが、世界恐慌の影響で断念せざるを得なくなります。そして第二次世界大戦後、サンフランシスコ平和条約により、コレクションはフランスの国有財産に。その後、日仏友好のために寄贈返還を決めたフランス政府が条件として提示したのが、保存・公開のための施設を設立することでした。約400点全てが寄贈返還されたわけではありませんが、フランスでも人気の高いルノワールの《アルジェリア風のパリの女たち(ハーレム)》などが返ってきた裏には、松方の遺志を継いだ日本政府の根強い交渉があったと伝えられています。

3月から常設展に加わったフェルメール

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ヨハネス・フェルメールに帰属《聖プラクセディス》1655年 油彩、カンヴァス個人蔵(国立西洋美術館へ寄託)

松方コレクションの保存・公開のために設立された当館ですが、その後は中世末期から20世紀までの西洋美術史が概観できる場を目指して収集活動を行い、現在では約5500点を所蔵するに至りました。西洋美術を専門に扱う唯一の国立美術館ということで、個人コレクターからの寄託も多く、最近ではフェルメールに帰属される《聖プラクセディス》が寄託公開されて話題を呼んでいます。フェルメールの真筆であるかどうか、研究者の見解が分かれる作品ですが、だからこそ公開されるべきだと考え、寄託を受け入れました。多くの人目に触れることで、さらに議論が深まることを期待しています。

現在所蔵する約5500点のうち、今回ご紹介した《睡蓮》や《アルジェリア風のパリの女たち》のような人気作品は基本的に年間を通じて公開していますが、そのほかの作品については随時展示替えを行っています。何度足を運んでいただいても、「こんな作品があったのか」という発見が必ずあることと思いますので、ぜひ企画展だけではなく常設展にも注目してみてください。また、常設展示会場の一角にある版画・素描の小企画展にも毎回趣向を凝らしていますので、こちらも併せてお楽しみいただければ幸いです。

Information

国立西洋美術館
所在地 〒110-0007 東京都台東区上野公園7-7
TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル)
開館時間  9:30~17:30(金曜のみ20:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日 月曜(祝日・休日の場合は翌日)、10月5日(月)~10月9日(金)、年末年始 
※毎月第2・第4土曜と11月3日は無料観覧日(常設展示のみ)

おすすめミュージアムグッズ

■ちりめんベア
ちりめん製のボールチェーン付きチャーム。人気の高い所蔵品であるモネの《睡蓮》とゴッホの《ばら》がモチーフで、一体一体顔つきが微妙に違うのもポイントです。
▼各¥1,080(税込)
■考える人ボールペン
ロダンの《考える人》がモチーフのボールペン。胸ポケットにさすと、《考える人》がさりげなく顔を覗かせます。黒が基調のシンプルなデザインは、男性にもオススメ。
▼¥780(税込)

更新日:2015年5月25日

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