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第21回 東京都庭園美術館(八巻香澄学芸員)

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東京都庭園美術館「正面玄関ガラス・レリーフ」

朝香宮が白金に建てたアール・デコの邸宅

殿下書斎

東京都庭園美術館の本館は、元を辿ると、1933年に建てられた朝香宮鳩彦王の邸宅です。1922年にパリに留学した鳩彦王は、翌年交通事故に遭い、その看病のため允子妃も渡仏。2年に及んだパリ滞在中、東京では関東大震災があり、夫妻が住んでいた高輪の屋敷も被害に遭いました。帰国後、白金御料地の一部に居を構えることになった夫妻は、当時のパリを席巻していたアール・デコ様式による邸宅を望まれます。フランス装飾美術界の重鎮であったアンリ・ラパンが主要部分の内装を担当して完成した邸宅は、それ自体が“アール・デコの美術品”と称されるに至りました。ラパンは様々な人気作家の手による装飾品を各所に組み込んでおり、正面玄関のガラス・レリーフはルネ・ラリックの作品です。

1947年、終戦に伴う宮家の皇籍離脱により、朝香宮も熱海に居を移すことになりました。それから1954年までの間、屋敷は吉田茂外務大臣の公邸として使用されます。内閣総理大臣となって首相官邸が用意されてからも、吉田氏は好んでこの邸宅に住み、殿下書斎で執務を行っていました。その後、1955年~1974年には迎賓館として使用されましたが、赤坂迎賓館の開館に伴いその役目を終え、 民営の白金プリンス迎賓館として使用された後の1983年、 美術館としてオープンしたというわけです。 1993年には、東京都有形文化財建造物に指定されています。

“空間と作品の共鳴”を目指して

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東京都庭園美術館 本館 大食堂 開館30周年記念展「幻想絶佳:アール・デコと古典主義」展示風景

当館では、その本館(旧朝香宮邸)自体が主要な展示物。所蔵品の中核をなすのも建物と同時代のアール・デコ工芸で、内装と調和する作品を集めるようにしています。現在開催中の「幻想絶佳:アール・デコと古典主義」(4月7日まで)は、33人のアール・デコ作家による家具や彫刻、装飾工芸品などを各部屋で展観するもの。当館の目指す、“空間と作品の共鳴”が実現した良い例と言えると思います。一方で、昨年まで行っていたリニューアル工事で、新館にホワイトキューブの展示室を新設しました。文化財である本館には設置が難しい大型絵画などはこちらに展示しています。

リニューアルに際しても、建物と内装は82年前の姿を伝えるように、と修復・復刻を行っています。かつての皇族や財閥のお屋敷が今に残る例はほかにもありますが、施主自身の意思が色濃く反映されている点に、当館の特徴があります。パリで目の当たりにしたアール・デコの華やぎを再現すべく、朝香宮ご夫妻は邸宅建築に並々ならぬ情熱を注がれました。特に允子妃は、ラパンらから送られてくるフランス語の指示書を、自ら訳して職人に伝えることもあったと言われています。その邸宅がこうして美術館として公開されていることを、ご夫妻ならばきっと喜んでくださることと思います。

Information

東京都庭園美術館
所在地   〒108-0071 東京都港区白金台5-21-9
TEL   03-5777-8600(ハローダイヤル)
開館時間  10:00~18:00 ※入館は17:30まで
休館日   毎月第2・第4水曜日

おすすめミュージアムグッズ

美術館には正門横と新館にショップがありますが、ここではどちらでも手に入る2品をご紹介。
■オリジナルマグカップ
人気のマグカップは、小客室のラジエーターカバーがモチーフになっています。
▼¥1,200(税抜)
■オリジナルノート
旧朝香宮邸内の装飾が切り絵で表現されたノート。持ち運びやすいA5サイズで、グリーン、ブルー、ホワイト、それぞれに異なる切り絵が施されています。
▼各¥590(税抜)

更新日:2015年1月27日

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