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第15回 府中市美術館(志賀秀孝学芸係長)

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本多錦吉郎「景色」

府中市美術館「景色」

120年前から変わらぬ府中のケヤキ並木

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正宗得三郎「鎮守の森」

東京都府中市は、現在は東京23区内に勤める人々のベッドタウンとして栄えていますが、江戸~昭和初期には、都心からほど近くにある緑の多い場所といった存在でした。交通が発達していなかった時代、都心からこの辺りまでは半日がかりの道のり。人々は小旅行気分でやってきて、公園でのんびりしたり、魚釣りを楽しんだりしていたようです。明治に入り、西洋から自然主義絵画の考え方が伝えられると、多くの画家がこの辺りを写生するようになりました。当館では、そんな府中にゆかりのある画家の作品や、府中と周辺地域を描いた風景画を中心に収集しています。

本多錦吉郎の「景色」(明治31年)は、大國魂神社へと続くケヤキ並木の参道を描いた作品です。ケヤキ並木と大國魂神社は今も、府中を代表する観光スポット。道路が整備され、周りにビルが建ち並んではいるものの、ケヤキ並木自体はこの作品が描かれた120年前と変わっていません。1062年に源頼義・義家父子が苗1000本を寄進したことに始まり、その後徳川家康が補植したと言われるこのケヤキ並木には、江戸初期のものが今も数本以上残っています。明治期の先駆的洋画家の一人であった本多も、この並木道に心を打たれ、明治美術会十周年記念展に出品する大作としてこの作品を描き上げました。

今と変わらぬ並木道を描いた作品の一方には、今はもう見られない光景が絵の中に広がる作品も。正宗得三郎の「鎮守の森」(昭和29年)に描かれているのは、現在はビルが建ち並ぶ、市内の四谷という地域です。画面左側にある富士山は今もこの地域から眺めることができるものですが、実はこれは正宗の創作で、「実際は右手にあったものを画作りのために左側に描いた」と本人が言っていたとか。正宗は東京大空襲でアトリエを失い、長野県に疎開した後、戦後は緑豊かな府中に居を構えて生涯を過ごしました。青空と緑の美しさを豊かにとらえた本作は、いかにも「色彩の音楽」を標榜した正宗らしい作品です。

できたばかりの東京競馬場を描いた作品も

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中西利雄「競馬場」

ほかにも、府中と聞けば多くの人が思い浮かべるであろう、東京競馬場ができたばかりの頃を中西利雄が描いた「競馬場」(昭和9年頃)など、当館の府中近代風景画コレクションは多岐にわたります。またもちろん、府中関連以外の作品も所蔵しており、コレクションは全部で1800点ほど。そのうち約60点を常時公開しているほか、様々な企画展も開催していますので、市民以外の方にも楽しんでいただけることと思います。大國魂神社や東京競馬場からも遠くない場所にありますので、ぜひ足を運んでみてください。

Information

府中市美術館
所在地   〒183-0001 東京都府中市浅間町1-3
TEL   03-5777-8600(ハローダイヤル)
開館時間  10:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日   月曜日(祝日の場合は翌日)、国民の祝日の翌日、展示替え期間、年末年始

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更新日:2014年7月28日

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