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第8回 ブリヂストン美術館

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岸田劉生《街道(銀座風景)》 1911年頃 油彩、カンヴァス

ブリヂストン美術館《街道(銀座風景)》

銀座生まれの画家、岸田劉生

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岸田劉生《麗子坐像》 1920年 水彩、紙

愛娘の麗子を描いた連作で広くその名を知られる岸田劉生(1891年~1929年)は、銀座生まれ、銀座育ちの近代洋画家です。38年という短い生涯のうち、生まれてから22歳頃までを銀座二丁目で過ごし、近辺の風景を繰り返し描きました。当館で所蔵している《街道(銀座風景)》は、現在の「メルサ」の辺りにあったと言われる生家周辺の煉瓦街を描いたもの。広い道路や、画面中央右端に描かれた電車などが、当時の銀座の様子をよく表しています。

劉生の誕生から遡ること20年ほどの1872年、銀座は大火に見舞われ、一夜にして灰と化しました。文明開化の街として再建するという維新政府の都市計画に基づいて出現したのが、道路が現在の銀座通りの幅にまで広げられた、洋風の商店街。銀座は、江戸以来の中心街であった日本橋をしのぐ繁華街へと成長していきます。劉生の父で、ユニークな起業家・文筆家として知られた吟香がこの街に移り住んだのは、1875年のこと。目薬や文具を扱う「薬善堂精錡水本舗」を目抜き通りに構え、14人の子どもたちを何不自由なく養うほど繁盛させました。第九子、四男として生まれた劉生は、帝都東京のシンボルとも言える銀座を遊び場にして成長していったのです。

劉生に影響を与えた西洋絵画

幼時より絵画に興味を持っていた劉生は、17歳の時に画塾にて本格的な修業を始めます。画風をめまぐるしく変化させていった画家としても知られる中、《街道(銀座風景)》を描いた1911年頃は、ゴッホやセザンヌらポスト印象派の影響が色濃い時代。1910年創刊の雑誌「白樺」で紹介された彼らの作品に感銘を受けた劉生は、独学で研究し、いち早くその画風を取り入れていきました。その後、西洋絵画の真似に止まらないオリジナルのスタイルを確立し、前述の「麗子像」が劉生の代名詞的存在となっていきますが、《街道(銀座風景)》ではそれらは全く異なる、原色を多用した荒々しい筆致を見ることができます。

当館のコレクションは、西洋の近現代美術と、明治以降の日本の洋画を中心としていますので、劉生に影響を与えたゴッホやセザンヌの作品も多く収蔵しています。セザンヌの《帽子をかぶった自画像》は、当館の前にも日本人が所蔵していたため、ヨーロッパに行くことのなかった劉生が肉眼で見た数少ない西洋絵画。劉生自身の作品は他館に貸し出していることも多いのですが、印象派やポスト印象派の作品は常に何かしら展示していますので、日本の近代洋画に与えた影響を感じながら鑑賞していただくのも面白いのではないかと思います。
(貝塚健学芸部長)

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ポール・セザンヌ《帽子をかぶった自画像》 1890年-1894年頃 油彩・カンヴァス

Information

ブリヂストン美術館
所在地   〒104-0031 東京都中央区京橋1-10-1
TEL   03-5777-8600(ハローダイヤル)
開館時間  10:00~18:00(金曜のみ20:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日   月曜日(祝日・振替休日の場合は開館)、展示替え期間、年末年始
※展覧会によって、月曜特別開館あり

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※価格は全て税込み

更新日:2014年2月18日

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