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第6回 太田記念美術館

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歌川広重「名所江戸百景 昌平橋聖堂 神田川」

太田記念美術館「名所江戸百景」シリーズ

150年前の名残を残す御茶ノ水と日本橋

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歌川広重「名所江戸百景 する賀てふ」

浮世絵は、江戸時代に誕生した日本独自の大衆美術です。1枚の値段が大体おそば1杯と同じくらいだったそうですから、江戸の人々にとっては、美術というよりも週刊誌のような身近な存在だったのでしょう。それだけに、「役者絵」や「美人画」などどんな作品からも当時の文化や風俗を感じ取ることができるのですが、江戸という場所に注目した場合、特に面白いのが「名所絵」のジャンル。中でも、風景画の巨匠・歌川広重の晩年の傑作「名所江戸百景」は、他の浮世絵師があまり描かなかった場所までも網羅した約120図にも及ぶシリーズで、現在の東京の風景と並べてみるといろいろなことが見えてきます。

6年後にオリンピックを控え、東京は急激に様変わりしつつあります。その中で、意外にも150年前の名残をよく残しているのが、御茶ノ水・秋葉原界隈。『昌平橋聖堂 神田川』と、同じ場所を撮影した現在の写真を見比べてみてください。商業施設が次々とオープンしている御茶ノ水ですが、その一つである「mAAch ecute」の西側に位置する昌平橋付近に立ってみると、江戸時代と同じように、昌平坂や湯島聖堂を望むことができるのです。変わらぬ眺めという点ではもう一つ、『する賀てふ』も顕著な例ですね。両側に三井越後屋の建物が立ち並ぶ間の通りを描いているのですが、それは現在も、日本橋三越本店と三井本館という、同じ三井関連の建物に挟まれた道なのです。

失われた東京の名所を浮世絵で偲ぶ

変わらぬ眺めとは言えないまでも、東京には土地の機能を引き継いだ場所が多々あることも、「名所江戸百景」は教えてくれます。『山下町日比谷外さくら田』に描かれた佐賀藩鍋島家の屋敷は、今は日比谷公園に。『市ヶ谷八幡』に描かれた尾張徳川家の屋敷は、今は自衛隊の駐屯地に。細分化されることなく、広いスペースを生かして土地が有効に使われているのです。一方ではもちろん、今では失われてしまった名所も。「三十三間堂」と言えば京都がおなじみですが、実は江戸時代には、深川にも同じ名前の寺院がありました。残念ながら焼失してしまいましたが、『深川三十三間堂』の中で、その姿を偲ぶことができます。

明治時代に入ると写真が普及し、風景は写真で記録されることが多くなっていきます。もちろん正確さでは写真が上回るのでしょうが、白黒の写真よりは、私は浮世絵のほうがかえって鮮明にイメージを伝えてくれる気がしています。当館では、約14,000点の収蔵品を月ごとに入れ替えて展示していますので、「名所江戸百景」が常に見られるとは限らないのですが、多くの企画展で何らかの名所絵は展示していますので、じっくり眺めながら、江戸の様子を想像していただければと思います。
(渡邉晃主任学芸員)

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歌川広重「名所江戸百景 深川三十三間堂」

Information

太田記念美術館
所在地   〒150-0001 東京都渋谷区神宮前1-10-10
TEL   03-5777-8600(ハローダイヤル)
開館時間  10:30~17:30
※入館は閉館の30分前まで
休館日   月曜日(月曜が祝日・振替休日の場合はその翌日)、展示替え期間、年末年始

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更新日:2014年1月22日

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