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第5回 東京国立近代美術館

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古賀春江「海」 昭和4年 東京国立近代美術館蔵

東京国立近代美術館所蔵作品展「MOMATコレクション」展示室5:地震のあとで

古賀春江の『海』に見る関東大震災後の東京の都市文化

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展示風景

当館では、主に1907年から現代までの美術品を約12,000点収蔵しており、定期的に展示替えをしながら常時約200点をご覧いただけるようにしています。小さな展示室が13室という構成の空間ですので、部屋ごとにテーマを設定しているのですが、東京を知るということであれば、現在の展示室5がおすすめ。「地震のあとで」というテーマに基づき、1923年の関東大震災で壊滅的な被害を受けた東京が、復興して近代化の道を歩んでいく様子を、絵画やポスター、雑誌などを通して紹介しています。

マグニチュード7.9の巨大地震に見舞われた直後の東京は、展示室入って左手の十亀広太郎のスケッチにある通り、瓦礫の山でした。その6年後、日本の近代洋画を代表する画家の一人である古賀春江が描いたのが、奥に展示している『海』という作品です。天を指さす水着姿のモダンガール、明るく抜ける青空、それとは対照的に冷たく光る工場、潜水艦や飛行船。様々な印刷物からピックアップしたイメージをモンタージュの手法で一つの画面に構成し、近代化が生み出したエネルギーを肯定的に表現しています。描かれた要素一つひとつは東京のものとは限りませんが、海外の雑誌も含めた幅広い印刷物が手に入る環境だったこと自体が、情報の行き交う大都市としての東京を象徴しています。

東京に現存する店を描いた長谷川利行の『カフェ・パウリスタ』

出口付近にある長谷川利行の『カフェ・パウリスタ』も、『海』と同時期に東京で制作された作品。カフェという新しい風俗の草分け的存在で、今も場所を変えて営業を続ける実在のお店を描いています。ただ、当時このカフェはいくつか店舗を構えていて、ここに描かれているのが文化人の社交場となっていた銀座店なのか、それとも、下町の庶民的な生活の匂いを好んだ利行らしく浅草や神田あたりの店なのかは、分かっていません。どちらにしても、利行が住まいを固定することなく街を徘徊しながら描いていたことは確かですから、作品には震災後の東京が間違いなく息づいています。様々な切り口で描かれた美術品を通して、「震災後の東京」を多面的に感じ取っていただけたらと思います。

そのほかの展示室にも、それぞれ「大正デモクラシー」や「世界大戦」など、日本の大きな社会的出来事をテーマとして設け、近現代美術の流れを時代との関わりの中で紹介しています。全室をじっくり見ていくと大変な時間がかかりますから、疲れたらぜひ4階の「眺めのよい部屋」で休憩を。皇居のお濠の奥にビル群が見渡せる絶景ポイントですから、東京観光の隠れた名スポットとも言えるかもしれません。(鈴木勝雄学芸員)

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長谷川利行「カフェ・パウリスタ」 昭和3年 東京国立近代美術館蔵

Information

東京国立近代美術館
所在地   〒102-8322 東京都千代田区北の丸公園3-1
TEL   03-5777-8600(ハローダイヤル)
開館時間  10:00~17:00(金曜のみ20:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日   月曜日(月曜が祝日・振替休日の場合はその翌日)、展示替え期間、年末年始(2013年12月28日~2014年1月1日)
観覧料   一般420円、大学生130円ほか(※2013年12月現在)

おすすめミュージアムグッズ

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気に入った作品を常に手元に置いておけるポストカードは、手頃な価格も手伝い、ショップ一番の人気商品。館の収蔵品から、100種類ほどがラインナップされています。
▼各¥80

■古賀春江『海』グッズ
今回紹介した『海』は館を代表するコレクションの一つなので、グッズも豊富です。アートクロスは、メガネやアクセサリー、液晶画面やデジカメのお手入れもできるスグレモノ。
▼一筆箋 ¥400 ▼アートクロス ¥840 ▼MOMATボールペン ¥525

更新日:2013年12月24日

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